No.1 消える義援金

震災義援金は支払われる前に消えるはず

 義援金が何百億と集まりました。しかし今まで、どの団体がどう管理して、どんな目的にいくら遣ったか、まるで報告がありません。
 私の知る限り、NHKのような公共機関でも、その使途について言及したことがなく、どこそこに充てる計画を策定している、といった報道もない。義援金を出した国民も、使途には無頓着ですが、これではいけません。日本人というのは、お人好しで熱しやすく冷めやすい。その習性を利用して、義援金が盗用されているとしたら、どうします?
 年金、税金、学園の基本金の流用など、現代日本は狡猾な犯罪の巣です。その手法で義援金も横流しされている噂があります。今こそ、この問題を表に出さないと、枯渇してからでは手遅れですよ。

(1)被災地の各代表者の方々へ


 きつい言い方をしますが、もし貴殿が義援金のつかい道に無頓着では、あなたは代表者として失格です。なぜなら、諸君が代表者であるために、ほかの人が君を押しのけて義援金はどうなったの? 自分が監視したい、使途のアイデアを出したい、割り充てを徹底したい、とは言いにくい。ですから、貴殿は代表者として、義援金の割り当てなどを役所任せにしてはいけません。

 なるほどと思われたら、貴殿は担当者を決めて、積極的に義援金使途について、請求と管理運営に取り組んで下さい。あなたがやらないで誰がやりますか? しっかり自覚をもって頂いたい。NHKともタイアップして毎日、何万円がどこで使われたか、その議論に手間暇をかけ、いつもフェアプレイで公表してください。それをやってこそ、代表者です。

 

(2)義援金は所有者不明金だから、あぶない!


  お解りでしょうか、義援金は預金とちがって、所有者がいません。寄付金の集まりです。だから、どうつかおうと、俺の金だ、返せと裁判する人もいない。その弱点をうまく利用して、いい加減につかってもうむやで済むのです。

 この種の資金について私も現場を知ってあきれたことがあります。義援金、賠償金、難民救済金などは、多くの場合、中途段階で消えてしまいます。実際に困っている人々には届かないで、着服されるのです。開発途上国の場合、政府役人が着服したり、軍事費に回したり、一部特権階級の遊興費に回されますが、日本の場合はどうでしょう?

 日本人はそういうことをしないと思ってはいけません。かつての社会保険庁がいい例です。かれらは皆さんの手に渡るべき年金を、何千億円と運用したり、運用に失敗したとみせかけて消してしまった闇の役所だった。各種年金運用機構も同様で、この事実が判明しても、ろくな調査も入らないままうやむやとなり、そのまま解体、首謀者は何の処罰もなく、ほくほく顔のまま消えました。

 これが日本の役人体質です。役所や役所と見せかける特殊法人は税金を総額何兆円と流

し込み、使途不明金を多々出して、自然に消え去る。この上層部の不可解な資金流用は国際的スケールで展開されます。私が『ビーライフ!』でその一部を描いたように、スイスや上海の金融機関を利用して、いわゆるマネー・ロンダリングをやる。鑑査クラスの役人や検察庁も保身ゆえに見て見ぬ振りをするから、日本の高級官僚はやりたい放題です。この役所体質については、私はいつも警鐘を鳴らしていますが、震災義援金もまた、その役所の体質の中にあることを忘れてはなりません。

(3)今こそ、被災者が立ち上がるとき。あとでは遅い!


 みなさん、とくに陸前高田、気仙沼、女川など、まともに被害を被った地区のみなさん、あなた方は、どれだけ義援金を差し向けてもらっていますか? その使途はちゃんと公表されていますか? 何億と使途不明金が出ているという噂のなかで、ほんの僅かしは貰っていないのではないですか? 義援金はきちんと管理され、地域別に割り充てられ、使途が明らかであり、遣われた金額が明示され、鑑査も行き届き、それが説明責任とともに公表されていますか?

 これに無頓着でいてはいけませんよ。

 みなさんはきっと当事者が真面目に、必死になってやってくれているという幻想を抱いているかもしれない。だがそんなお人好しのままでは、悪とは戦えません。わるい奴らにいいようにされるだけです。

 それを放置しておき、ずっと後になってから騒ぎ出し、大分経ってから、「あれ、どうなりました?」といっても、その段階で訳のわからない記録書をみせられて、すべては帳簿上はきちんと終わっています。「このように、きちんと振り分けて、残高はゼロです」と言われるのがおちです。その帳簿を握っても、当時の人々にさかのぼるのは不可能です。みな退職して、資金の流れなど闇の中のまま。

 いいですか、義援金もそうなります。先の長い話ではありません。あと、数年でみんなどっかへ流用され、枯渇してしまうと、私は予測しています。

 つまり、諸君、いま、しっかり獲得せねば、もう貰えない。義援金とはそれほど浮動状態にあることを、もっと自覚しなさい。がんばれ、被災地の諸君、その代表者の諸君。

「義援金請求は今しかない!」を合い言葉にがんばって獲得してください。

 以上、まず第一点として「震災義援金使途不明!」を指摘し、警鐘を鳴らしておきます。